【海外展示会レポート】Korean Craft Collective 2026

Photo takn by GGA staff

初日から満員の盛況—シンガポールに上陸した韓国クラフト酒の新潮流

開催日程: 2026年4月25〜26日(12:00〜21:00)

会  場: New Bahru School Hall(46 Kim Yam Road, Singapore)  

主  催: Sool Cellar(韓国クラフト酒の輸入・流通専門事業者)

入  場: チケット制(入場料にテイスティング込み) 

規  模: シンガポール初上陸の第1回イベント

シンガポール初上陸、初日で完売した商品も

2026年4月25日、シンガポールのNew Bahru School Hallにて「Korean Craft Collective」が開幕しました。韓国のクラフト酒・発酵文化・ライフスタイルブランドをシンガポールに紹介する初の試みとして企画された本イベントは、シンガポールにおける韓国クラフト酒の輸入・流通を専門とするSool Cellarが主催。同社代表のDominic Tan氏は、シンガポール初のクラフトマッコリ専門バー・レストラン「Odem」の創業者でもあります。

初日から大勢の参加者が訪れ、会場は開始直後から熱気に包まれていました。ブリュワリーによっては2日目には在庫が尽きてしまうほどの盛況ぶりで、韓国のクラフト酒文化に対するシンガポール市場の関心の高さが改めて感じられました。会場には韓国各地から集まったブリュワリーの担当者と、マッコリや薬酒(ヤクジュ)の世界を探求しようとする来場者が入り混じり、土曜日の昼から活況を呈していました。

マッコリ・薬酒—各ブリュワリーの差別化戦略

イベントの中核を担ったのは、韓国各地のクラフトブリュワリーによるテイスティングブースです。マッコリ(막걸리)は韓国の伝統的な米醸造酒で、近年クラフト化の波が押し寄せ、小規模醸造所が独自の製法・素材・フレーバーで差別化を図る動きが活発化しています。薬酒(약주)はマッコリより澄んだ上澄み部分を用いた酒で、繊細な風味が特徴です。

各ブリュワリーはそれぞれ独自のアピールポイントを持って来場者に訴求していました。フレーバーの豊かさを前面に打ち出すブリュワリー、飲みやすさと口当たりのなめらかさを強調するブリュワリー、国際的なコンペティションでの受賞歴をアピールするブリュワリー、そしてオーガニック原料へのこだわりや無添加製法を掲げるブリュワリーなど、訴求軸は多様でした。単に「うちのお酒です」という紹介にとどまらず、「なぜこのお酒が他と違うのか」を丁寧に語る姿勢が印象的で、クラフトビールの世界で見られるような「ストーリーで売る」文化がマッコリ・薬酒の世界にも確実に根付いていることが感じられました。

💡 GGAが注目するポイント

各ブリュワリーが「フレーバー・飲みやすさ・受賞歴・オーガニック」という軸で差別化を図る姿勢は、日本酒や焼酎の海外展開を検討する日本の蔵元にとっても参考になる戦略です。「品質」を伝えるだけでなく、「なぜこの一本か」という物語の設計が、海外バイヤーへの訴求力を高めます。

果物との掛け合わせ—フルーツ系マッコリの豊かな世界

会場全体を通じて特に目立ったのが、フルーツとの掛け合わせによるマッコリ・薬酒のラインナップの多さです。韓国産の葡萄・桃・いちじくなどを使用したフルーツ系の酒が数多く並び、試飲コーナーには来場者が列をなしていました。

葡萄系はすっきりとした果実の甘みと米由来の旨味が調和し、ワインとマッコリの中間のような飲み口。桃系は華やかな香りと柔らかな甘さが特徴で、特に女性来場者からの反応が大きかった印象です。いちじく系は独特の濃厚な甘みと深みがあり、食事との相性を説明するブリュワリースタッフの姿も見られました。

こうしたフルーツ系の展開には、マッコリの「敷居を下げる」効果があります。果物のフレーバーを入り口にすることで、伝統的なマッコリに馴染みのない外国人でも親しみやすくなるだけでなく、食事との相性をより引き出すという意図もあります。酒の種類に応じてどの料理が合うかを丁寧に説明するベンダーも見られ、単なるテイスティングにとどまらず「食と酒のペアリング」という文化ごと体験できる場となっていました。この戦略は、韓国のクラフト酒産業がグローバルな市場を見据えて意図的に設計していることの表れといえます。

発酵ワークショップと体験設計

飲むだけにとどまらない「体験」の場としての設計も、本イベントの特徴のひとつです。英国育ちの韓国系発酵専門家であるJohnny Kyunghwo氏によるワークショップ「Alt Makgeolli」では、伝統的な製法にとらわれない実験的なアプローチでのマッコリ醸造が紹介されました。参加者はプロバイオティクスを活用した短期発酵の手法を学び、レシピカード・米・プロバイオティクスのお土産を持ち帰ることができます。

食のサイドでは、Odemが本イベントのために開発した限定メニューを提供。同店のSNSで話題となったガムテ(海藻)バターのブリオッシュも登場し、マッコリとの相性を体感できるフードペアリングが来場者に好評を博していました。

ライフスタイルブランドと文化体験の融合

クラフト酒にとどまらず、韓国のクリエイティブ文化を体感できる場としての設計も本イベントのユニークな点です。シンガポール初の韓国タトゥースタジオ・アカデミーであるHansan Studioがポップアップを出展し、伝統的な韓国タトゥースタイルを紹介。Tomorrow's Tableは、テンジャン(味噌)・コチュジャン(唐辛子味噌)などの韓国伝統発酵調味料であるジャン(장、伝統発酵ソース)を製造・販売するブランドとして出展しました。さらに、韓国産材料を使用したスキンケアブランドSigi Skinや、韓国産スペシャルティスナック・食材を扱うMMHSも参加し、K-カルチャーの多面的な魅力を一堂に体験できる構成となっていました。

「K-酒」が描く次の地図

K-POPやK-フードに続く「K-酒」の国際展開は、まだ始まったばかりです。しかしKorean Craft Collectiveのような場が生まれ、初日から大勢の来場者が訪れ2日目には在庫が尽きるブースも出るほどの反響を呼んでいる事実は、シンガポールをはじめとするアジアの消費者が韓国のクラフト酒文化に本物の関心を持っていることを示しています。

展示会・ビジネスイベントという観点からも、本イベントは示唆に富みます。「貿易商談」の形をとらずとも、消費者と直接つながるBtoC型のイベントがブランドの認知と市場開拓に大きな効果をもたらすことは、日本の酒蔵や食品メーカーが海外進出を考える際にも参考になるアプローチです。GGAでは今後も、こうした新しい形の市場開拓の動きを注視していきます。

【主な数字の出典】

・開催日程・会場・主催・Sool Cellar概要・Johnny Kyunghwo氏のワークショップ詳細・Odemメニュー・Hansan Studio:Sool Cellar公式サイト(soolcellar.sg)、88bamboo.co(2026年3月25日)、Time Out Singapore(2026年4月1日)

・OdemがNew Bahruでのシンガポール初クラフトマッコリバーである点:Time Out Singapore Odemレビュー(2024年)、88bamboo Odem訪問記(2025年1月)

※ 初日の来場状況・ブリュワリーごとの訴求内容・フルーツ系マッコリの詳細・食事との相性説明・在庫状況は筆者の現地取材に基づく観察です。

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Global Gateway Advisors Pte Ltd.では、展示会支援・市場調査支援を行っております。16年にわたる日系企業様の海外進出支援の経験やネットワークを駆使して、単なるイベントに終わらせず、その後のディストリビューターとのマッチング、販路開拓まで包括的に支援が可能です。ご興味のある方は、是非一度ご連絡ください。 

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