【海外展示会レポート】OS+H Asia 2026
Photo takn by GGA staff
暑さ対策の義務化が追い風に ~シンガポールで見た「安全(Safety)」分野の商機~
開催日程: 2026年9月9日(水)〜11日(金)
会 場: Marina Bay Sands Convention Centre (シンガポール)
規 模: 15回目の開催(1998年創設、隔年開催)。前回2024年は17の国・地域から130社・ブランド以上が参加、40か国から6,000人以上が来場
アジア最大級の労働安全衛生展、15回目の開催
OS+H Asia(The Occupational Safety + Health Exhibition for Asia)は2026年9月9日から11日まで、シンガポールのサンズ・エキスポ&コンベンションセンターで開催された。1998年の初開催以来、シンガポールで隔年開催されており、今回で15回目を迎えた。主催はMesse Düsseldorf Asiaで、ドイツ・デュッセルドルフで開催される世界を代表する労働安全・保安・衛生見本市「A+A」に着想を得た展示会である。
2026年版はシンガポール人材省(Ministry of Manpower、MOM)および労働安全衛生評議会(WSHC)がナレッジオーソリティとして展示会を支援するほか、新たにシンガポール赤十字アカデミー(SRCA)がナレッジパートナーとして加わり、心理的応急処置やメンタルウェルビーイング、レジリエンスに関するセッションを展開した。出展企業はシンガポール、マレーシア、インドネシア、香港、中国、インド、台湾、オーストラリア、韓国、日本、パキスタンなど多岐にわたり前回2024年版には17の国・地域から130社・ブランド以上が参加し、40か国から6,000人以上の業界関係者が来場した。来場者にはST Engineering、シンガポール民間防衛隊(SCDF)、CapitaLandなど大手企業のWSHディレクターや安全管理者、調達担当者も名を連ねている。
メディカルも盛況、しかし今回注目したのは「安全(Safety)」
会場ではメディカル関連の展示にも多くの来場者が見られ、ヘルスケア分野への関心の高さがうかがえた。しかし今回筆者が特に注目したのは、Safety(安全)分野の展示だった。
暑さ対策ガイドラインの改定が追い風に:ファン付きジャケットに列
シンガポール人材省(MOM)は2026年8月28日、屋外労働者を対象とするHeat Stress Management Frameworkの強化を発表した。従来は推奨事項だった①熱ストレス対策研修の実施、②作業場所付近での冷たい飲料水の提供、③緊急時に備えた冷水・保冷剤・水スプレーの常備、④熱ストレスを軽減または防止する適切な衣服の提供、の4項目を新たに義務化し、2026年12月1日から適用する。あわせて、十分な換気・断熱または冷却機能を備えた日陰の休憩スペースの設置も、新たな推奨事項として追加された。
この規制強化を受けてか、会場ではファン付きの冷却ジャケットなどのブースに熱心に足を止め、試着をする来場者の姿が多く見られた。12月の義務化開始を前に、企業側が対応を迫られていることが、こうした関心の高さの背景にあると考えられる。
新しい規制は、技術力のある日本企業にとっての商機
このような新しい規制の導入は、ある意味で技術力の高い日本企業にとって有利に働く。市場に新たな需要が生まれるタイミングで先行者優位を取りにいくことは、海外展開の成功率を高める一つの有効な手段である。規制対応という「待ったなし」の需要が発生している今こそ、技術力のある企業が機を逃さず動くべきタイミングだといえる。
💡 GGAが注目するポイント
今回のOS+H Asiaで印象的だったのは、規制強化が新たな商機を生み出す典型的な瞬間に立ち会えたことです。MOMの熱中症対策義務化のように、期限が明確に切られた規制は、企業側に「対応せざるを得ない」需要を生み、これは海外市場に参入する日本企業にとって絶好のタイミングとなります。
ただし、この商機を活かすには事前準備が欠かせません。英語での仕様書・カタログの整備、対象商材が現地の規制や認証(安全規格など)に抵触しないかの事前確認、代理店や商談相手が理解しやすい形での製品訴求など、機会が訪れた瞬間に動き出せる体制を整えておくことが重要です。規制情報は展示会や現地メディア、当局の発表から先んじてキャッチアップし、準備を進めておくことをお勧めします。
規制対応の波に乗る:海外展開における先行者優位の重要性
OS+H Asia 2026を通じて改めて感じたのは、法規制の変化が市場に与えるインパクトの大きさである。今回のシンガポールの熱中症対策義務化のように、政府主導の規制強化は、対象となる企業に具体的な行動を促す強い後押しとなる。こうした規制の変わり目を的確に捉え、いち早く現地のニーズに応える製品・サービスを提示できるかどうかが、海外展開の成否を分ける重要な要素となる。
技術力を強みとする日本企業にとって、こうした「規制ドリブン」の商機は決して珍しいものではない。重要なのは、規制の動向を平時からウォッチし、いざという時にすぐ動ける準備(英語資料・現地規格への適合確認など)を整えておくことである。OS+H Asiaのような専門展示会は、そうした規制動向と現場のニーズを同時に把握できる貴重な場だといえるだろう。
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