【海外展示会レポート】Beyond Motion 2026

Photo credit by: Beyond Motion

開催日程: 2026年3月21〜22日(9:00〜21:00)

会  場: Suntec Convention Centre, Halls 403-404(シンガポール) 

主  催: Sgcarmart(シンガポール最大の自動車プラットフォーム) 

参加ブランド: BYD、GAC Motor、Dongfeng、Toyota、Subaru、Jaecoo、Omoda、Proton、Denzaなど8社以上

シンガポール初の体験型EVショーケース——中国勢の攻勢とインフラ整備が描くモビリティの未来

シンガポール初のEV特化ショーケース、初日から盛況

2026年3月21日、Suntec Convention CentreにてSgcarmartが主催する「Beyond Motion」が開幕した。シンガポール最大の自動車プラットフォームが手がける初めての体験型EVショーケースとあって、初日から多くの来場者でにぎわい、最新のEV車に対する市民の期待の高さが随所に感じられた。

シンガポールでは2025年に完全電気自動車が新車登録の45%を占め、初めてトップカテゴリーとなった。Beyond Motionはその追い風を受けて企画されたイベントで、EV購入を検討する一般消費者から業界のプロフェッショナルまで、幅広い層を対象に「体験・学び・比較」の場を提供した。

中国勢の本格参戦——GAC Motor・Dongfengが鮮明に打ち出した競争力

今回のBeyond Motionで最も存在感を示したのが、中国系EV勢の積極的な参加だ。GAC MotorおよびDongfengが出展し、これまでシンガポール市場で圧倒的な信頼を誇ってきたトヨタとの比較を正面から打ち出す戦略を展開していた。

各ブースで強調されていたのは主に4点だ。まず維持コストの低さ:電気代はガソリン代の数分の一となり、エンジンオイルや複雑なトランスミッションが不要なため長期的なメンテナンスコストが大幅に抑えられる点。次に耐久性:中国の厳しい市場での実績と品質向上を背景に、「壊れにくく長持ちする」というメッセージを前面に。そして充電時間の短縮:最新モデルでは急速充電に対応し、日常使用での実用性を訴求。さらにデザイン性:欧州テイストのスタイリッシュな外観と豪華な内装で、プレミアム感を演出していた。

特にDongfengは、コンパクトEVハッチバック「Dongfeng Box」を中心に展示。42.3kWhバッテリーで最大航続距離430kmを実現しながら、競合のトヨタ車と比べて購入価格・維持費ともに抑えられることをデータとともにアピールしていた。GAC Motorも最新のEVモデルを展示し、洗練されたキャビンデザインと高い安全性を前面に打ち出していた。

EV普及のカギを握るインフラ——SP Mobilityの存在感

車両展示だけでなく、充電インフラ供給の面でも注目の出展があった。シンガポール最大の電力・エネルギーサービスグループであるSP Group傘下のSP Mobilityも出展し、EV充電インフラの整備状況と将来ビジョンを紹介していた。

SP Mobilityは現在、シンガポール全土に400カ所近い充電拠点、1,400ポイント以上の充電器を展開するシンガポール最大の公共EV充電ネットワーク事業者だ。2026年2月にはHuaweiと連携し、テマセク・ポリテクニックにシンガポール初の蓄電池一体型超高速EV充電器(最大480kW)を設置。これは蓄電池が充電器未使用時に電力を蓄え、充電時に放出することで既存の電力インフラへの負荷を抑えながら高速充電を実現するもので、対応車両であれば5分程度で200km分の充電が可能だという。

「充電インフラが整っていないからEVは買えない」という消費者の不安(レンジ・アンクサイエティ)を解消するために、SP Mobilityの存在は不可欠だ。Beyond Motionという場で車両メーカーとインフラ提供者が同じ屋根の下に並ぶ構成は、EV普及エコシステム全体を一度に可視化するという点で、非常に説得力のある展示となっていた。

「体験・比較・決断」を一か所で

Beyond Motionのユニークな点は、単なる車両展示にとどまらない「体験設計」にある。スタンプラリーやインタラクティブなアクティビティ、充電の仕組みを学べるエデュケーションハブ、政策立案者やOEMを交えた業界パネルディスカッションなど、来場者が「楽しみながら学び、比較して決断する」プロセスをイベント全体でサポートする構成となっていた。

参加費無料という点も功を奏し、EV購入を具体的に検討している層はもちろん、まだ興味段階という「EV初心者」も多く来場していた様子だった。このような裾野の広いイベント設計は、シンガポール政府が掲げる「2040年までにすべての新車を環境対応車に」というビジョンの達成に向け、民間が積極的に役割を担っている姿勢の表れといえる。

日系・グローバル企業へのビジネス的示唆

Beyond Motionは今回が第1回だが、すでにそのポテンシャルは明らかだ。EV市場の拡大とともに、充電インフラ、バッテリー管理、スマートシティ連携など周辺ビジネスへの参入機会も広がっている。日本の自動車関連企業や部品サプライヤー、エネルギー企業にとっても、シンガポールのEVエコシステムへの参加は東南アジア展開の足がかりとして戦略的価値が高い。

Beyond Motionは、シンガポールのモビリティ転換を象徴するイベントとして、今後の展開が注目される。


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