JETRO「対日投資報告2025」公開 ― データが示す日本市場の今と、日本企業に生まれる新たな機会

JETROが「対日投資報告2025」を公開しました。

本レポートは毎年発行されており、海外から日本への直接投資(FDI)の動向を包括的にまとめたものです。日本市場への進出や投資を検討する企業にとって、欠かせない情報源となっています。

今年のレポートには注目すべき動きが複数あります。対日FDI残高は過去最高の53.3兆円を記録。グリーンフィールド投資(新規拠点設立型の投資)も過去最大。さらに日本政府は、2030年の対日FDI残高目標を100兆円から120兆円へ引き上げました。

本記事では、レポートの主要データを整理しながら、日頃ASEAN企業の日本進出を支援している立場から見えてくるポイントを解説します。

対日投資の現在地 ― 残高53.3兆円、グリーンフィールド投資は過去最大

2024年末時点の対日直接投資残高は53.3兆円(前年比4.5%増)で、過去最高を更新しました。年間の純流入額(フロー)は2.5兆円と前年からは鈍化したものの、流入超過は維持されています。

注目すべきはグリーンフィールド投資の伸びです。前年比15.4%増の316億米ドル(約4.8兆円)と、過去20年以上で最大の水準に達しました。データセンターや物流施設の建設にかかわる大型案件が相次いでおり、AI関連事業や物流の自動化・省人化への需要拡大が投資に直結している構図です。

クロスボーダーM&Aも回復基調にあります。2024年の対日M&Aは前年比24.6%増の208件。円安による日本企業・資産の割安感に加え、コーポレートガバナンス改革の進展や海外PEファンドの資金流入が、M&A活発化の背景にあります。

シンガポールは対日FDI残高で第3位に

国・地域別の対日FDI残高では、米国(10.6兆円)、英国(9.1兆円)に次いでシンガポール(6.1兆円)が第3位。前年比14.6%増と着実にポジションを拡大しています。

私たちがシンガポールやASEAN各国で活動する中で実感しているのは、日本市場への関心が年々高まっていることです。一方で、「関心はあるが、実際にどう参入すればよいかわからない」という声も多く聞かれます。法人設立の手続き、現地パートナーの選定、補助金制度の活用 ― こうした実務面でのサポート体制が、進出の成否を大きく左右するのが実情です。

日本政府の本格的な動き ― 120兆円目標と32の施策

2025年6月、日本政府は「対日直接投資促進プログラム2025」を公表し、5つの柱と32の具体的施策を打ち出しました。2030年の対日FDI残高目標を100兆円から120兆円に引き上げ、2030年代前半には150兆円を目指す方針です。

現在の残高は約53兆円であり、目標達成にはさらに67兆円の積み上げが必要です。これは現在の水準を倍以上にするということであり、それだけに政府が海外企業の誘致に本格的に取り組み始めていることがわかります。

現在進行中の主な施策を挙げると:

  • 地方への投資誘致の強化 ― 地方自治体と連携した投資誘致ゾーンの整備や、地方向け補助金制度の拡充が進んでいます。

  • 半導体・AI・GX分野の重点誘致 ― TSMCの熊本進出に代表されるように、戦略的産業分野への大型投資を受け入れる体制が整備されています。

  • スタートアップエコシステムの強化 ― 海外VCの参入促進や外国人起業家向けビザ要件の緩和など、イノベーション創出を促す施策が展開されています。

  • 外務省FDIタスクフォースの拡大 ― 2025年1月にシンガポールを含む11拠点体制に拡大し、現地での企業誘致活動を強化しています。

業種別動向 ― テクノロジー・サービス領域に集中

レポートからは業種別の傾向が読み取れます。

クロスボーダーM&Aの件数では、ソフトウェア・情報通信が全体の41.1%を占め、サービス業(13.3%)、電機(6.4%)が続きます。

FDIフローの業種別内訳でも、金融保険(7,462億円)、通信(4,347億円)、サービス(3,093億円)がトップ3を占めており、いずれも非製造業です。

この傾向の背景には、日本国内の労働力不足やDX推進への需要があります。テクノロジーやサービス分野において、海外企業の知見やソリューションを求める動きが加速しているのです。これは、日本企業にとっても見過ごせない動きです。

日本企業にとっての意味 ― 海外企業との連携機会が拡大している

ここまでのデータは、海外企業による日本への投資が拡大している事実を示しています。しかし、この流れは海外企業だけのものではありません。日本企業にとっても、新たなビジネス機会が広がっています。

日本に進出する海外企業の多くは、現地でのパートナーを必要としています。販売代理店、ディストリビューター、技術提携先、合弁パートナー ― 日本市場で事業を展開するうえで、現地を熟知したパートナーとの連携は不可欠です。

JETROのレポートでも、対内直接投資の波及効果は外国企業と日本企業の「つながり」から生まれると指摘されています。海外企業が持つ技術やビジネスモデルと、日本企業の市場知見やネットワークを組み合わせることで、双方にとって新たな成長機会が生まれます。

特に以下のような日本企業にとっては、今が連携を検討する好機といえます:

  • 新たな販路や事業領域の開拓を目指す企業 ― 海外企業の日本参入パートナーとなることで、自社のビジネス領域を拡げることができます。

  • 海外の先端技術やサービスを取り入れたい企業 ― AI、SaaS、物流自動化など、海外企業が日本に持ち込むテクノロジーとの協業は、自社のDX推進にも直結します。

  • 将来的なグローバル展開を視野に入れている企業 ― 日本国内での海外企業との提携が、海外市場進出への足がかりとなるケースも少なくありません。

まとめ ― 120兆円目標が意味するもの

日本政府が掲げた120兆円という目標は、海外企業の誘致に対する国としての明確な意思表示です。同時にそれは、日本企業にとっても海外パートナーとの接点がこれまで以上に増えることを意味しています。

レポートのデータが示す通り、日本市場に向かう海外からの投資の流れは確実に大きくなっています。この流れの中で、海外企業との連携を通じて自社の成長につなげる ― その選択肢が、今は十分に現実的なものとなっています。

海外企業との連携にご関心のある日本企業様は、ぜひお気軽にご連絡ください。

■本記事はJETRO「対日投資報告2025」の公開データに基づいています。 レポート全文:日本語版英語版


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Global Gateway Advisorsは、シンガポール、マレーシア、ベトナムを拠点に、ASEAN・グローバル企業の日本市場参入も支援するコンサルティング会社です。海外企業の日本進出をハンズオンで支援するほか、各国政府機関による日本市場ミッションツアーの企画・コンサルティングも手がけています。こうした実績が評価され、2025年3月にEnterprise Singapore(EntSG)認定パートナーとして承認されました。

弊社には、日常的に「日本で信頼できるパートナーを探している」という海外企業からの相談が寄せられています。そのため、日本側で海外企業との連携に関心をお持ちの企業様には、ぜひお声がけいただきたいと考えています。

業種・規模は問いません。「海外企業との接点がない」「どのような企業が日本進出を検討しているのか知りたい」といった段階からでも構いません。案件のご紹介から、海外企業との初回ミーティングの設定まで、弊社が橋渡しをいたします。

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