日本人がシンガポールで就労する為には就労ビザ(EP/Sパス)が必要です。
シンガポールで1,000件以上の就労ビザコンサルティング、3,000件以上の学歴認証で培ったEP/Sパス取得ノウハウを共有させて頂いております。
日本人がシンガポールに旅行に来る場合、事前のビザ申請は必要なく、有効期間が滞在予定日数+6か月のパスポートを保有していれば入国時に30日間の滞在ビザが付与されます。 一方で、日本人が当地で働くためには、就労ビザの取得が必須になります。
この記事では、一般的なビザ申請(ベーシック部分)として、就労ビザ全体の概要から、就労ビザとして最も一般的なエンプロイメントパス(Employment Pass, 以下、「EP」)およびSパスの取得方法を見ていきたいと思います。
弊社は、シンガポールにおいて日系企業で唯一、就労ビザの申請代行ライセンスと、EPの申請について必須手続である学歴証明の第三者認証機関のライセンスを政府機関より付与されており、当地の日系企業で最も人材開発省(Ministry of Manpower、以下、「MOM」といいます)と頻繁にやり取りをしております。また、就労ビザについては、1,000件を超える申請を支援しており、これまでのところ全ての申請が許可されています。これらの知識や実務経験を基に、最新の動向や今後起こり得る改正についてファクトベースで解説をさせていただきます。
本サービスはシンガポール政府(MOM)による公式サービスではありません。当社は民間のコンサルティング会社として、企業および個人に対し、就労ビザ申請に関する一般的な情報提供および実務支援を行っています。ビザの発給可否は、すべてシンガポール政府当局の判断に基づきます。
日系企業で唯一のビザ包括ライセンスを保有
就労ビザ代行ライセンス、MOM学歴認証機関
豊富な専門人材
日本人KAH、元MOM担当官、ローカルバイリンガルKAH
15年、4,000件以上の支援実績
日英対応でのシンガポールでの15年に渡る4,000件以上の支援実績
全業種で支援実績あり
金融、情報通信、製造、海運、建設、小卸売、サービスを中心とした全業種
在星日本人コミュニティへの寄付
認証機関で唯一、学歴認証サービスの売上の1%をJCCIへ寄付
MOM発給の就労ビザの申請代行ライセンス番号:23S2040
MOM選定の認定学歴認証機関:Selected Background Screening Company (BSC)
まず手短に、シンガポールの労働市場の全体像を俯瞰してみましょう。
下表の通り、シンガポールは、永住権および外国人労働者(シンガポールパスポート以外を保有する人口)の割合が2025年9月末時点で40%と極めて高い国という特徴があります。
| 区分 | 人数 (百万人) | 割合 | 備考 |
|---|---|---|---|
| シンガポール人 | 3.66M | 約60% | ローカル国民人口 |
| 永住権保有者(PR) | 0.54M | 約9% | ローカルに含まれる |
| ローカル合計 | 4.20M | 約69% | シンガポール人 + 永住権保有者 |
| 外国人合計 | 1.91M | 約31% | 就労者、帯同家族、学生含む |
| 区分 | 割合 | 備考 |
|---|---|---|
| EP(経営層・専門職) | 11% | Employment Pass |
| Sパス(中技能) | 9% | S Pass |
| WP(建設・製造・造船・プロセス以外) | 21% | ワークパーミット(低技能) |
| WP(建設・製造・造船・プロセス) | 23% | 同上(別カテゴリ) |
| MDW(メイド) | 16% | 家事労働者 |
| 外国人就労者の帯同家族など | 16% | 就労者の家族など |
| 学生ビザ | 5% | 留学生 |
自国の歴史において、優秀な外資系企業、外国人を世界から誘致することにより、その技術、ノウハウを取り込み発展してきた経緯があります。
ただし、特に2020年以降、シンガポールの外国人受入ポリシーは厳格化の一途をたどっており、人材開発省(Ministry of Manpower, 以下、「MOM」)は下記のようなポリシーを明確にしています。
シンガポールは、シンガポール人にはない能力やスキルを持ち、シンガポール人を「補完」できる質の良い外国人を受け入れることに注力していく。具体的には、各就労ビザのカテゴリーに相当するシンガポール人の上位3分の1と同等かそれ以上のレベルの外国人に対してのみ、就労ビザを発給していく。
管理職、専門職、経営層人材、高等技術者(以下、「管理職等」)に該当するシンガポール人を育てることを目的として、より公平な雇用機会を与える
このポリシーは現在においても上記と同様になります。
シンガポールにおける雇用に関する法令等の階層化をしたものが以下の図となります。
特に押さえておきたいのは、Fair Employment Practices -「公平な雇用慣行」という概念で、以下がポイントになります。
シンガポール人の「公平な雇用」を守るためのルールが、雇用法以外にも階層的に存在
法律の下層に位置づけられる「ガイドライン」は、法律を補完するものとして罰則規定もある
求人、採用~解雇までの「公平な雇用ルール」を規定
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シンガポールで就労するにあたり、取得可能な就労ビザとしては、以下の5つがあります。
この記事では、日本人の就労ビザの大部分を占める1. EP、2. Sパスについて詳細を解説し、3. PEP、4. Entre Pass、5. ONEパスについては制度概要となぜ一般的でないかの説明に留めることにします。
それでは、就労ビザの全体像を見ていきましょう。
就労ビザは5種類ある
下記の図が5つの就労ビザの概要をまとめたものになります。
見ていただければ分かる通り、PEPについては更新不可であること、Entre Passについてはその対象者が限定されること、ONEパスは月給30,000以上のトップタレントが想定されていることから、ほとんどのケースでEP、Sパスによる就労ビザの取得が選択されます。
| ビザの種類 | EP | Sパス | PEP | アントレパス | ONEパス |
|---|---|---|---|---|---|
| 対象者 | 専門職、管理職、経営層人材 | 中技能熟練労働者 | 専門職、管理職、経営層人材 | 外国人起業家 | 世界的トップ人材(ビジネス・文化・スポーツ等) |
| 企業スポンサー | 必要 | 必要 | 不要 | 新規申請時は不要 | 不要 |
| 最低給与(月額) | 金融以外:S$5,600 金融:S$6,200 ※年齢に応じて変動 |
金融以外:S$3,300 金融:S$3,800 ※年齢に応じて変動 |
年額 S$270,000 | なし | S$30,000 |
| 通常の発給期間 | 初回:最大2年 更新時:最大3年 |
最大2年 | 3年(更新不可) | 新規および初回更新:1年 2回目以降:2年(複数条件あり) |
5年(更新可) |
| 扶養家族ビザ | 可(S$6,000以上の月給) | 可(S$6,000以上の月給) | 可 | 可(事業支出や資金調達等の条件あり) | 可 |
| その他の要件 |
以下のすべてを満たす必要あり:
|
MCF広告 | — |
以下いずれかを満たす必要あり:
|
— |
2024年10月更新:シンガポール政府、EORによる外国人の就労禁止を発表
MOMは、2024年9月、シンガポール国外の企業が雇用代行(Employer of Record, EOR)を利用して外国人従業員の就労許可証をスポンサーすることを禁止しました。
詳細はこちら→URL
それでは、就労ビザの一つであるEPの申請について詳しく見ていきます。
EP取得の要件を下記に一覧としてまとめました。
| 対象者 | 管理職、専門職、経営層人材、高等技術者で優れた大学の学位、専門的資格・スキルを有するもの | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 申請方法 |
企業/申請代行会社が対象者の代わりに申請 弊社GGAがライセンスを保有する申請代行会社 |
||||
| 滞在可能期間 | 初回:最高2年間 更新時:最高3年間※IT業界は5年間あり | ||||
| 更新の可否 | 可能 | ||||
| 必要書類 |
パスポート、MOMの指定する認証機関による学歴証明書 弊社GGAが日系唯一の認証機関 |
||||
| 給与設定額 ※SATおよびCOMPASS上の金額基準は別途確認が必要 |
S$4,500〜 S$5,999 |
S$6,000〜 S$11,999 |
S$12,000〜 S$22,499 |
S$22,500〜 | |
| 扶養家族ビザ(DP)の申請 | |||||
| DPの対象者 | − | 配偶者、21歳以下の未婚の子供 | |||
| DPの就労可否 | 不可(DP保持者がEP/Sパス/Work Permitを取得する必要あり) | ||||
| 長期滞在ビザ(LTVP)の申請 | |||||
| LTVPの対象者 | − | 内縁の妻、21歳以上のハンディキャップのある未婚の子供、21歳以下で養子の未婚の子供 | |||
| LTVPの対象者 | − | − | 両親 | ||
| LTVPの就労可否 | 不可(LTVP保持者がEP/Sパス/Work Permitを取得する必要あり) | ||||
| 政府サイト(MyCareersFuture)での求人広告 | 10名以上の従業員がいる会社の場合必要 *10名未満でも実施を推奨 |
10名以上の従業員がいる会社の場合必要 *10名未満でも実施を推奨 |
不要 *実務上、社内異動の場合は実施を推奨 |
||
取得の前提条件① シンガポール人への公平な雇用機会の提供
シンガポール政府は直近数年間、「シンガポール・コア」というスローガンのもとで、外国人(駐在予定の社員)と同等かそれ以上に能力のあるシンガポール人がいるのであれば、企業はシンガポール人を優先的に雇用するべきというポリシーを打ち出してきました。具体的にはFCF(Fair Consideration Framework, 公平な選考に関するフレームワーク)というルールを導入することで、全企業に対して、外国人の選定とEP申請の前に、まずそのポジションをシンガポール人向けに最低14日間広告しなければいけないというルールを課しています。ここで企業の求める要件に合うシンガポール人からの応募があった場合は、駐在員の派遣は取りやめて、そのシンガポール人を採用しないといけません。要件に合うシンガポール人がいなければ初めて、企業は、駐在員の選定や外国人の採用の検討を始めることができるというのが現在のシンガポール就労ビザ申請の原則です。
NTUC(シンガポール全国労働組合会議 - 従業員側)、SNEF(シンガポール経営者連盟 - 雇用主側)、MOM(人材開発省 - 政府機関)の3者間により、2016年に設立された非営利目的の法人形態(CLG)が、TAFEP(Tripartite Alliance for Fair and Progressive Employment Practices, 公正かつ進歩的な雇用慣行のための三者連合)という機関を傘下に設けています。
このTAFEPが、定めたTGFEP(Tripartite Guidelines on Fair Employment Practices, 公平な雇用慣行に関する3社間ガイドライン)を、外国人採用に特化してMOMがフレームワーク化したものが、FCF(Fair Consideration Framework, 公平な雇用の検討に関する枠組み)です。
現行制度では、求人広告を実施しなかったり、その内容や方法がシンガポール人に対して「不公平」や「差別的」であると当局に判断された場合、最大で2年間の就労ビザの発給・更新の一切の停止、最悪の場合は企業の代表者の禁固刑という厳しいペナルティがあります。
今後こうしたルールがより強制力を持った形で法律化されることも発表されています。これは、Work Place Fairness legislartion(WFL、、職場公平法)と呼ばれ、2023年2月に法制化委員会からの法制化に向けた中間報告書が提出されており、2023年8月に最終報告書が発行されました。
さらに2024年11月には、職場公平法に関する第1次法案(労働者を保護するための原則、紛争解決のプロセス、違反に対処する手段を定めたもの)が国会に提出されました。2025年中に職場公平法に関する第2次法案(紛争手続を詳しく説明し、労働争議法の改正を要求したもの)が国会に提出される予定です。2026年~2027年にかけて、両案を折り込んだ職場公平法が法律として施行される予定です。
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取得の前提条件② 最低適格給与
基本的な考え方としては、EP発給の最低適格給与(金融以外)はS$5,600以上で、学歴が高くて若い人材ほどS$ 5,600に近い金額でもEPが承認されます。反対に、年齢が高い方、より経験がある方については給与設定額を高くしないとEPが通らないことになります。45歳程度以上の人材については、若手人材の2倍近くとなるSGD10,700が最低給与です。
加えて、一般的に給与水準が高いと言われる金融セクターについては、最低給与設定額がSGD6,200となっています。こちらも一般業界と同様に、45歳以上のシニアレベルの人材については、若手人材の2倍近くとなるSGD11,800の最低給与が必要です。
また、帯同者がいるかどうかでもEPの給与設定額が変わってきます。
EPに紐づいた帯同者(配偶者、子供)向けの滞在ビザを発給する場合、EP保有者の最低給与額をS$6,000以上にする必要があります。 さらに、両親を連れてくる場合は最低給与額をS$12,000以上にする必要があります。
一般的にEPが取得できた場合、帯同者向けのDPおよびLTVPの取得難易度は低く、ほぼ確実に取得ができます。現状、帯同者に関しては学歴等を問われることもありません。2021年4月までは、シンガポールはDPのステータスでも別途LOC(Letter of Consent)という就業許可書を得ればシンガポールにて就労ができましたが、2021年5月1日以降、DPのステータスのシンガポールでのLOCを使った就労は原則禁止となりました。配偶者がシンガポールで就労するには、EPやSパス、Work Permit等の就労ビザを取得する必要があります。
取得の前提条件③ EP申請時の給与の定義と構成要素
EP月額固定給与は、月額基本給与と月額固定手当の合計となり、EP申請時の宣誓給与と同義となります。
月額基本給与とは、従業員自身や会社の業績に関わらず、また疾病休暇や有給休暇の有無に関わらず、月ごとに変動しない基本となる月給ことをいいます。
月額固定手当とは、月ごとに変動しない毎月の手当のことをいい、例としては、固定の食費手当や住宅手当などがあります。
月額固定給与には以下のものは含めることができませんので、注意が必要です。
変動手当
残業代、ボーナス、歩合給、年俸の補填
取締役会で決定された報酬、ストックオプション、配当による報酬
現物支給
雇用の過程で従業員が負担した費用を含む、あらゆる形態の払い戻し(経費精算)
報奨金
従業員のために行った拠出金を含む、雇用主が支払うべき年金基金への拠出金
外国人従業員の解雇、再雇用、退職時に支払われる謝礼
取得の前提条件④ COMPASSフレームワーク
現在は、①に記載した最低適格給与さえ満たせばEPの申請が提出でき、そこから先はMOMの個別審査によりEP発給の可否が決まるという仕組みになっています。しかしシンガポール予算案2022にて、EP申請事前評価フレームワーク「COMPASS」が、2023年9月より導入(更新申請については2024年9月より適用)されることが発表されました。COMPASSでは、個々の就労ビザ申請を6つの基準に基づいてスコア付けします。
2023年9月以降のEP申請では、
①EPの最低適格給与以上の月給を得る事
②COMPASSのスコアが政府基準の40点に到達している事
この2つの条件を満たなければそもそもEP申請が出せないという事になります。
6つの基準は以下の通りです。
EP最低適格給与は、候補者の年齢、業界経験年数、学歴等を、MOMが独自に持っている計算式に当てはめて算出されます。そのため、年齢が若い候補者であっても、その候補者のシンガポールでの月給が最低適格給与を満たす限り、EP申請は提出できます。※2023年9月以降は、COMPASSで40点取ることも同じく必須要件になります。
ただし、EPは「専門職・管理職・経営層人材」向けのビザです。社会人・業界経験の少ない若手については、本当に「専門職・管理職・経営層人材」なのか、またそういった職を全うできるだけの経験とスキルがある人材なのかといった部分に関して、EP申請提出後にMOMから追加調査が入るケースがよくあります。MOMに対して客観性・納得性のある説明ができないとEP申請は却下されてしまい、特にコロナ以降は、若手トレーニーのEP取得が非常に厳しくなっている状況です。
また、ローカル人材を無視した、若手駐在員ありきのEP申請を強行した結果、会社の就労ビザの発給の制限を受けるという、組織全体の問題に発展した日本企業も多くあります。
候補者自身の適正に加えて、ビザスポンサー企業の事業実態や財務基盤についても、EP申請後のMOMからの追加調査の対象となる場合があります。事業実態については、外国人を連れてくるだけの事業上のニーズやシンガポールでの事業の実態があるのかどうかという観点で、財務基盤については、その外国人の高い給与を払えるだけの売り上げが企業にあるのかという観点で、追加資料の提出が要求されることがあります。
特に近年、事業実態がない、現地での顧客や仕入先がいない、ローカルの雇用がないビジネスについては、外国人の就労ビザの新規申請や更新において、却下の連絡を受けるケースが多くなっています。
EP申請
それでは次にEPの申請方法を見ていきましょう。
ステップとしては大きく下記の7つに分かれますので、一つ一つ見ていきます。
まずはMCF広告プロセスを見ていきましょう。
MCFとは
シンガポールでは、2014年8月からローカルにも労働機会を公平に提供する目的から、企業に対し、EP申請前に政府(Workforce Singapore, WSGというMOMの下部機関)が運営する無料広告サイト(MyCareersFuture)での求人広告が義務付けられました。この広告の基本ルールは以下の通りになります。
・求人広告の対象にシンガポール人が含まれていること
・Tripartite Guidelines on Fair Employment Practicesに従っていること
・EP申請前に最低14日間の広告を行うこと
・広告内容に変更があった場合には、追加で14日間の広告を行うこと
・国籍、年齢、宗教、言語、性別、結婚の有無、家族構成で優越をつけないこと
また、EP申請予定者と役職、職務内容、職務要件、給与(レンジも可)を同じにして、広告を出す必要があります。ローカル候補者から応募があった場合には、応募要件を満たすかどうかを判断した上で、満たす場合には、採用面接を行う必要があります。
MCFの免除要件
このMyCareersFutureでの広告については、以下に該当する場合は免除されます。
| 番号 | 項目 | 留意点 |
|---|---|---|
| 1 | 従業員が10名未満の企業 | 小規模企業については、事務手続きに必要なリソースが限られている等の理由で広告が免除となります。ただし、免除要件に該当していたとしても、採用においてシンガポール人を公平に考慮することが期待されます。 |
| 2 | EP申請者の月収がS$22,500以上の場合 | EP保有者の上位10%に相当する経営幹部や専門職を含む上級管理職が対象で、役職の性質上、企業に公募を義務付けるのは現実的ではないことから広告が免除されます。 |
| 3 | 国外からの社内人事異動(ICT)の場合 | シニアポジションまたは高等技術者に限定。国外支店等で1年以上の勤務歴が必要。雇用期間は最大5年、家族の帯同不可。組織図や職務内容説明も必要。※詳細は「社内人事異動(ICT)制度について」を参照。 |
| 4 | 国内の人事異動の場合 | 国内関連会社への転籍や、同一スポンサー下でのSパス保有者のEP申請などが該当。事業再編時にも対象になることがあります。 |
| 5 | 1か月未満等の短期ポジションの場合 | 一時的または非常に短期間の勤務に関しては、求人広告の免除が適用される場合があります。 |
上記免除要件に該当した場合でも、MyCareersFuture広告を行うことを政府は強く推奨しています。 近年では、EP申請後に「企業の採用プロセスの公平性を説明せよ」という質問が来るため、免除要件に該当したという理由でMyCareersFuture広告を行っていない場合、これらの公平性を企業自らで説明することが必要になります。これはなかなか簡単ではありません。
このため、EP承認を得る近道として、免除要件に該当してもMyCareersFuture広告を行うことをお勧めします。
ICT制度の概要
社内人事異動(ICT)でのMyCareersFuture適用除外を受けるためには、世界貿易機関(WTO)のサービス貿易に関する一般協定(GATS)やシンガポールが加盟している自由貿易協定の下で定められる「ICT」の厳しい定義を満たしている必要があります。
A. 下記いずれかの職務に該当する高いレベルの人材であること
◆マネージャー
主に組織、または部門や小部門を指揮する。
スーパーバイザー職、専門職、または管理職の従業員の仕事を監督し、管理する。
雇用や解雇、その他の人事措置(昇進や休暇の許可など)を取る権限を持つ。
日常業務に対する裁量権を行使する。
◆Executive
主に組織全体のマネジメントの指揮をとる。
広範囲の意思決定権限を行使する。
ビジネスのより高いレベルのエグゼクティブ、取締役会、または株主からの一般的な指示のみ受ける (業務に関する細かい指示を受けるようなポジションではない)
◆Specialist
高度な専門知識を有する。
組織のサービス、研究、設備、技術、または管理に関する独自の知識を有する。
※WTOのMovement of natural persons (mode 4) under the Gats A Joint World Trade Organization-World Bank Symposium Geneva, 11-12 April 2002
Torsten Christen, German Ministry of Labour, Germany Mode 4 Trade – The Regulator's viewによると
ICTは、「シニアで専門的な人材(『一般的でない知識を有する者』)」に限定されています。
B. シンガポールの支店、関連会社、子会社に赴任する前に、シンガポール国外の会社に1年以上勤務していたこと
C. 1回の更新を含め、駐在期間の合計が5年を超えないこと
また、上記を証明するために、以下の提出が求められる場合があります。
a) 会社の組織図及びEP申請者の地位ポジション
候補者の上下2階層までの組織図で、下層ポジションについては、直属の部下全員の情報を記載することが必要です。
MOMの例では、HR・アドミン部門のヘッドをEP候補者とした時、部門の直属の部下が9名程度いるような組織規模を想定しています。
b) Specialistである場合、EP申請者の職務記述書には、申請者が高度な専門知識を有していることを示す必要があります。
ICT制度のデメリット
上記のように使い勝手の良いICT制度ですが、コロナ禍の高い失業率を受けて、MOMは2020年11月以降、本ICT制度の運用厳格化を打ち出しました。これにより、ICTでEPを取得した場合、以下の制限が新たに課されることになりました。
・ICTを使ってEP申請を行った場合、DP(帯同家族のためのビザ)を発給することができない
・ICTを使ってEP申請を行った場合、シンガポールでの将来の就労やPR申請ができない場合がある
MOM公式サイトでは、「該当するFTA等で別途定めがない限りはDPやLTVPの発給は不可」とされておりますが、2022年3月31日現在、日星間のFTAにはそのような定めは無いため、日本人がICTでEPを取得した場合、DPの発給は不可だと考えられます。
2020年11月以降、ICTを使ってEPを申請する際には、上記の内容に同意する旨の同意書に本人がサインをして、システムにアップロードすることが求められるようになっています。MOMはメディアを通じて、この運用は、より多くの求人をMyCareersFutureに掲載するようにするためであるといった趣旨の声明を出しています。
このため、肩書を問わず、家族を帯同したい駐在員については必ずMyCareersFutureに求人広告を投稿するのが実務上の運用となっています。
MCFの広告給与
公平な雇用慣行(FCF)は、シンガポールのすべての雇用主が求職者を公平に考慮するための要件を定めています。雇用主は、年齢、性別、国籍、人種などの職務に関連しない特性に基づいて候補者を差別してはならないと書かれています。シンガポールの全ての雇用主は、公正な雇用慣行に関する三者構成ガイドライン(TGFEP)を遵守することが求められます。
このFCFにおける代表的な要件がMCF広告要件です。MCFは、シンガポール市民と永住権保持者のみが使用可能な政府が運営する無料の求人検索ポータルサイトです。MCFに掲載される求人広告の結果をEP申請時に用いる場合は、ローカル求職者向けに最低14日間連続で掲載を求められます。すなわち、FCFを遵守してEPを申請するために、MOMは全ての雇用主に対し、EP申請を提出する前に、MCFで連続14日間の広告を投稿し、能力に基づいて選考することを義務付けていることになります。MOMは、差別的であったり、職務を正確に表現していない広告に関連するEP申請を却下します。
MCFの広告においては、給与に関する広告の正確性が要求されています。提示される給与は明確かつ具体的で、一貫性がなければならず、広告される給与レンジは以下が要求されます。
・給与非公開求人は不可で、すべての候補者に見えるようにしなければならない。
・給与レンジが広すぎてはならず、投稿時の最高給与は最低給与の2倍を超えてはならない。例えば、最低給与が5,000ドルの場合、最高給与は10,000ドルを超えてはならない。
・EP候補者に提示された給与が含まれていなければならない。これは、駐在員のEP申請において、給与と手当を含める場合は、それに先立って行われるローカル向けの求人広告の給与レンジにおいても、給与と手当を含めた金額水準で、投稿をする必要がある。
次にSATを見ていきましょう。
MOMから年齢に応じて、いくらの給与額を設定すればEP、Sパスが発給されるかを確認するための簡易ツール(無料)が提供されていますので、採用のステップに進む前にEPが発給される給与額を確認する必要があります。
なお、2023年7月に改修が行われ、SATは、COMPASSのスコアリングツールと統合されて一括評価ツールとしてリリースされています。COMPASSのスコアリングは、企業の人員情報と合わせて評価がされるため、現在はMOMがリリースしているMyMOMプラットフォームに、会社の権限者のID(コープパス)を使用してログインして確認をする運用となっています。
なお、人材紹介会社経由の求人オファーの場合は通常、紹介会社側で給与設定額を調べた上で、求人のオファーが出されます。
このツールはあくまで参考として用いるものであって、実際の申請を行った際にビザが承認されるかは、別問題となります。
最低給与額については、以下の通り、年々上昇を続けており、2027年1月以降の新規申請からさらに引き上げされています。
【最低給与額の変遷 - 金融サービスセクター以外 】
※下記は23歳以下の場合の新規申請に適用される最低額であり、新規申請時の年齢により異なります。
加えて、更新申請については、適用日が異なります。2027年12月末までにEPが失効するEP保持者については、S$5,600が、2028年1月以降にEPが失効するEP保持者については、S$6,000の基準が適用されます。
【最低給与額の変遷 - 金融サービスセクター 】
※下記は23歳以下の場合の新規申請に適用される最低額であり、新規申請時の年齢により異なります。
加えて、更新申請については、適用日が異なります。2027年12月末までにEPが失効するEP保持者については、S$6,200が、2028年1月以降にEPが失効するEP保持者については、S$6,600の基準が適用されます。
EP宣誓給与のうち、月額固定手当は、EP申請時の月額固定給与(基本給与+手当)の大きな割合を占めてはならないとされています。これらの手当が固定で月によって変動しない場合は、基本給与に含めるべきであるとも記載をされています。
MOMは、通常、月額固定手当が、月額固定給与全体の過半数(Major Proportionという記載)を占めたEP申請については、却下を行うとされています。
(1) EP保持者にも現地雇用法が適用される
会社と雇用契約を結んでいるすべての現地従業員および外国人従業員は、特例が適用されない限り雇用法の適用対象となります。就労ビザを持つ外国人従業員は、外国人を雇用する際の雇用主の責任と義務を定めた外国人雇用法の対象ともなります。
(2) シンガポールにおける一般的な支払給与の定義
支払給与とは、雇用契約に基づいて行われた仕事に対して支払われる手当を含む報酬のことをいいます。
支払給与には以下のものは含まれません。
・滞在施設、光熱費、その他の設備の提供価値(The value of accommodation, utilities or other amenities)
・雇用主が負担する年金基金の保険料
・出張手当
・勤務中に発生した費用の支払い(経費精算)
・解雇または退職時に支払われる謝礼
・解雇手当
続いてCOMPASSです。COMPASSの概要は上記で解説済みのため、実務上のポイントについてお伝えします。
2023年9月以降、そのEP申請がCOMPASSフレームワークで何点となるかが事前に診断できる無料ツール(Pre-Assessment Tool)が公開されています。
上述の通り、2023年7月に改修が行われ、SATは、COMPASSのスコアリングツールと統合されて一括評価ツールとしてリリースされています。COMPASSのスコアリングは、企業の人員情報と合わせて評価がされるため、現在はMOMがリリースしているMyMOMプラットフォームに、会社の権限者のID(コープパス)を使用してログインして確認をする運用となっています。
さらにCOMPASSとも密接に関係する学歴証明についても解説します。
日本の大学卒業者で、C2の学歴要件で点数を得ようとする場合、MOMの指定する第三者証明機関の証明書の取得・提出が2023年9月1日以降の申請において必須となりました。
背景としては、偽造の卒業証明を用いて就労ビザの取得を試みる/取得したケースが後を絶たず、2021年7月の報道発表によれば、過去5年間で年平均660件の偽造証明が発見されたといわれています。また、前述の通り、COMPASSのポイント制で、学歴要件があり、証明書の真贋が極めて重要な意味を持つことも背景の一つです。
このため、MCF広告、SAT、COMPASSプロセス後、EP申請前に、EP取得予定者の卒業大学が実在しており、かつ、卒業証明書が真実のものであることを、MOMの指定する第三者証明機関が証明するプロセスが追加となりました。
注意点としては、MOMは、第三者証明機関に、企業から証明書の発注があった日付の確認を行うため、ローカル候補者に向けたMCFプロセス前に発注を行うと、その時点で既に駐在員が特定されていたとして、公平な雇用慣行違反になる可能性があるため、学歴認証の依頼のタイミングについては気を付けていただく必要があります。
日本人のEP取得者の場合は、学歴詐称は稀なケースと考えられますが、第三者による学歴証明に追加の時間がかかるため、赴任スケジュールの調整が必要となります。
執筆者である、Global Gateway Advisors (GGA)は日系企業において唯一のMOM認定の学歴認証機関として、活動を行っております。
GGAは、以下の2つのライセンスを日系で唯一保有する専門会社です。
・Background Screening Company License - EP申請に利用が可能な学歴認証レポートの発行が可能
・Employment Agency License - 顧客の就労ビザ申請が代行可能
適切なステップを踏んだ後に、いよいよEP申請手続に入ります。
Corppassを使ってmyMOMへアクセスし、EP申請作業を行います。 就労ビザ申請代行会社に依頼する場合は、代行会社所定の申込フォームがありますので、それを記載した上で、EP申請を代行してもらうことになります。
EPの申請が承認されると内諾書を受領します。
EP申請後、特にMOMからの追加質問がなければ約2週間(10営業日)でIPA(In-Principle Approval Letter)を受領します。
IPAの有効期間は6か月となります。
受領したら、まずEPの滞在許可期間が何か月か確認しましょう(Period Granted (Months))という箇所です。
その後、申請した条件と相違がなければ、レターに、申請者、会社の代表者、申請代行会社(該当ある場合)のサインを取得した上で、MyMOMで以下の情報を送信します。
・申請者のパスポート情報
・旅行者ビザの情報
・滞在先住所
・EPカードの送付先
・SMSの受信先電話番号
・入国カードのコピー
・サイン済みIPA
・(必要に応じて)医療検査レポート
その後、通知レター(Notification Letter)が発行されますので、1か月以内にMOMへEPカード発行のアポ入れをする必要があります。
MOMのサイト上でEPカード発行訪問日を予約します。
予約した日時にMOMを訪問し、顔写真と指紋登録を行います。
訪問先は下記の通りです。
Employment Pass Services Centre (EPSC)
The Riverwalk
20 Upper Circular Road, #04-01/02,
Singapore 058416
持参物は下記の通りとなります。
申請者のパスポート
予約確認書(Appointment letter)
通知レター(Notification Letter)
IPAと通知レターに記載のある書類
訪問後、2週間程度で、EPカードが指定の住所に郵送されます。
(1) 雇用主が給与を引き下げる場合
雇用主は、給与を引き下げようとする日から少なくとも1ヶ月前に申請を行います。EP保持者は、改定後の給与で引き続き現在のEPを保持する要件を満たす必要があります。そうでない場合、雇用主はEPをキャンセルし、引き続き雇用をする場合は、要件を満たすカテゴリーの就労ビザを新規申請する必要があります。
(2) 雇用主が給与を引き上げる場合
雇用主はMOMにすぐに通知する必要はありません。代わりに、雇用主がEP保持者のEPを更新する際に、給与の変更を更新申請と合わせて届出をすることができます。
(3) 外国人労働力法(EFMA, Employment of Foreign Manpower Act (EFMA) offences)の一般的な違反に対する罰則
EFMAの一般的な違反のひとつとして、就労ビザの申請または更新において虚偽の宣誓を行ったり、虚偽の情報を提供したりすることが含まれます。この違反に対する罰則は、最大でSGD20,000の罰金、または最長2年間の禁錮刑、もしくはその両方です。
法人契約・法人払いの家賃または、法人契約・個人払いの家賃がEP申請時における給与として含めても良いのかについては、シンガポールの雇用法、外国人雇用法(EMFA)、TAFEPの要求事項、FCF、MOMウェブサイト、所得税法といった複数のリソースを正しく網羅的に理解した上で、多角的に検討を行う必要があります。以下では、一般的なパターンとそれぞれの見解をまとめています。
| 形式 | 大家との契約相手方 | 大家への支払い | |
|---|---|---|---|
| (1) | 家賃手当(個人契約・個人払い家賃) | 従業員 | 従業員 |
| (2) | 法人契約・個人払い家賃 | 雇用主 | 従業員 |
| (3) | 法人契約・法人払い家賃 | 雇用主 | 雇用主 |
(1) 家賃手当(個人契約・個人払い家賃)
| 用語 | 家賃手当(個人契約・個人払い家賃) |
|---|---|
| 全体評価 | ◎ |
| 大家との契約相手方 | 従業員 |
| 大家への支払い | 従業員 |
| 総額月額給与 | 基本給+家賃手当 |
| 純額月額給与 | 基本給+家賃手当 |
| EP申請時の給与と構成要素に当てはまるか? | はい。例には、固定住宅手当が含まれている。ただし、昨今、MOMは、固定月額手当である場合、固定月額基本給に含めて、EP申請をすることを推奨している。 |
| 給与所得控除の対象となるか? | 家賃手当は基本給と共に従業員へ支払われるため、該当なし |
| この形式は一般的ですか? | はい。従業員が契約し、支払いをする家賃について、会社がその一部または全部を手当として補助することは一般的です。 |
(2) 法人契約・個人払い家賃
| 用語 | 法人契約・個人払い家賃 |
|---|---|
| 全体評価 | 〇 |
| 大家との契約相手方 | 雇用主 |
| 大家への支払い | 従業員 |
| 総額月額給与 | 基本給+法人契約・個人払い家賃 |
| 純額月額給与 | 基本給+法人契約・個人払い家賃 |
| EP申請時の給与と構成要素に当てはまるか? | 住宅手当と現物支給のどちらにも当てはまらず、明示されていない |
| 給与所得控除の対象となるか? | 家賃手当は基本給と共に従業員へ支払われるため、該当なし |
| この形式は一般的ですか? | 契約の相手方が会社か従業員は、家主の要求にもよる。このため法人が契約したとしても、基本給と共に従業員へ支払うケースは一般的であるといえる。 |
|
この形式がEP審査給与上の固定月額給与に含まれるかどうかは、複合的な要因により決定する必要があります。 また、申請後の政府からの質問や却下を見据えた対応が企業に求められます。このため、就労ビザの専門家による見解を得た上で、進めることをお勧めします。 |
|
(3) 法人契約・法人払い家賃
| 用語 | 法人契約・法人払い家賃 |
|---|---|
| 全体評価 | △ |
| 大家との契約相手方 | 雇用主 |
| 大家への支払い | 雇用主 |
| 総額月額給与 | 基本給+法人契約・法人払い家賃 |
| 純額月額給与 | 基本給 |
| EP申請時の給与と構成要素に当てはまるか? | 詳細はお問合せください。 |
| 給与所得控除の対象となるか? |
従業員が受け入れた宿泊施設の提供は、給与から控除することができる。 宿泊施設、アメニティ、サービスの提供に対する控除額の合計は、 提供された宿泊施設、アメニティ、サービスの価値を超えてはならない。 また、給与期間中の給与の25%を超えてはならない。 |
| この形式は一般的ですか? |
会社が外国人従業員に対し、社宅を提供することは一般的であるが、 現在シンガポールでは一般的ではありません。詳細はお問合せください。 |
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この形式がEP審査給与上の固定月額給与に含まれるかどうかは、複合的な要因により決定する必要があります。 また、申請後の政府からの質問や却下を見据えた対応が企業に求められます。 このため、就労ビザの専門家による見解を得た上で、進めることをお勧めします。 |
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次は、もう一つの就労ビザ、Sパスの申請について見ていきましょう。まずはSパスの概要です。
| 対象者 | 中技能スキルを有し 一定レベルの学歴(大学・短大・専門学校等)、 技術者の場合は1年以上のフルタイム専門コースを修了した者 |
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|---|---|---|---|
| 申請方法 | 企業/申請代行会社が対象者の代わりに申請 | ||
| 滞在可能期間 | 最⾼2年間 | ||
| 更新の可否 | 可能 | ||
| 必要書類 | パスポート、MOMの指定する認証機関による学歴証明書、健康診断書 | ||
| 給与設定額 SAT上の金額基準は別途確認が必要 |
S$3,600〜S$5,999 | S$6,000〜S$11,999 | S$12,000〜 |
| 扶養家族ビザ(DP)の申請 | ✖ | ○ | ○ |
| DPの対象者 | — | 配偶者 21歳以下の未婚の子供 |
|
| DPの就労可否 | 不可(配偶者⾃⾝がEP/Sパス/Work Permitを取得する必要あり) | ||
| 長期滞在ビザ(LTVP)の申請 | ✖ | ○ | ○ |
| LTVPの対象者 | — | 内縁の妻 21歳以上のハンディキャップのある未婚の子供 21歳以下で養子の未婚の子供 |
|
| LTVPの対象者 | — | — | 両親 |
| LTVPの就労可否 | 不可(LTVP保持者⾃⾝がEP/Sパス/Work Permitを取得する必要あり) | ||
| 政府サイト(Jobs Bank)での求人広告 | 10名以上の従業員がいる会社の場合必要 *実務上10名未満でも実施を推奨 |
10名以上の従業員がいる会社の場合必要 *実務上10名未満でも実施を推奨 |
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取得の前提条件① Quota
まず注意したいのは、Sパスは、シンガポール人/PR従業員〇人に対して1枠 という形で発行される就労ビザになります。ローカル従業員が複数名いる企業を前提とした就労ビザですので、設立したばかりの新設法人や日本人ばかりの小さい所帯の企業等、シンガポール人/PRを雇用していない企業の場合は申請することはできません。
具体的には、企業全体の雇用人数に対するSパスの上限割合が定められています。2019年12月31日まで、Sパスを取得できる外国人の割合は企業全体の雇用人数の20%まで、サービス業に限っては15%までと定められていましたが、その後複数回に渡って割合の引き下げが発表され、現在では建設・製造、造船・加工関連関連で18%まで、サービス業で10%までとなっています。
ポイントは、この「企業全体の雇用人数」についてはEP等他のビザを持つ外国人はカウントされず、あくまでシンガポール人、PR(永住権)保持者、Sパス、ワークパーミットのみが計算対象になることです。
社内の計算対象となる人数を数え、それに対してSパスが何枠申請可能かを計算するというのが実務上のやり方になります。
| Sパス(サービス業) | Sパス(建設・製造・造船・化学関連) | |
|---|---|---|
| 割合上限 | 割合上限 | |
| 2021/1/1〜 | 10%まで | 18%まで |
| 2023/1/1〜 | 10%まで | 15%まで |
※簡便化のため、ワークパーミットは記載から除く
ここで言うシンガポール人/PR保持者ですが、ローカル最低適格月給(Local Qualifying Salary, LQS)がS$1,600以上で1人、S$800~S$1,599で0.5人とカウントされます。 国籍がシンガポール人でも、月給がS$800未満では数に入らないことに注意が必要です。
このSパス取得可能割合にも、シンガポール人を育て、シンガポール人の良質な雇用を拡大していきたいという政府の大方針が、数字として明確に表れた形になっているかと思います。
また、2022年9月1日より、最低月給がS$1,600に満たないローカルのフルタイム従業員を1名でも雇用していると、EP、Sパス、Work Permit等の外国人の就労ビザが発給できないルールが施行されています。
シンガポール予算2026(2026年2月12日発表)において、ローカル最低適格給与が現行のS$1,600/1名から、S$1,800/名に引上げされることが発表されました。
引上げは、2026年7月1日から適用となります。
取得の前提条件② Levy
また、EPにはなくSパスにはあるものとして、Levy(外国人雇用税)の存在があります。 Sパスが発給されたその日から停止・失効する日まで、雇用主には支払い義務が生じるものです。
企業全体の雇用人数(シンガポール人/PR保持者)のうちSパス保持者の人数が10%を超えるとより高い税金が課されていましたが、2025年9月からは、これらの10%まで(Tier 1)と、10%以降(Tier 2)の雇用税の区分を廃止し、一律の雇用税の適用となります。
詳細と背景について触れると、シンガポール予算案2022において、2022年から2025年にかけて、このTier 1のSパスホルダーにかかる雇用税が段階的に引き上げとなることが発表されました。2025年9月1日以降は、Tier 1のSパスホルダーにかかるLevyがS$650まで引き上げられ、これによって、Sパスホルダーについては割合に関わらず、一人当たり一律S$ 650/月の税金がかかることとなります。
| 全体に占める割合 | Sパスー人当たり/月 | Sパスー人当たり/日 |
|---|---|---|
| 最初の10%まで | S$ 650(25年9月~) | S$ 21.37(25年9月~) |
| 10%以上 | S$ 650 | S$ 21.37 |
※基本は月額での徴収、就業が一か月に満たない場合のみ日割り税率が適用されます。
取得の前提条件③ シンガポール人への公平な雇用機会の提供
この要件はこれまではEP申請の際にのみ求められてきたものでしたが、コロナによるローカル失業率の悪化とローカル人材の質の向上を目的として、2020年10月以降はSパス申請にも求められるようになりました。
シンガポール政府は近年、「シンガポール・コア」というスローガンのもとで、外国人(駐在予定の社員)と同等かそれ以上に能力のあるシンガポール人がいるのであれば、企業はシンガポール人を優先的に雇用するべきというポリシーを打ち出してきました。具体的にはFair Consideration Framework(公平な選考に関するフレームワーク)というルールを導入することで、全企業に対して、外国人の選定とEP申請の前に、まずそのポジションをシンガポール人向けに最低14日間広告しなければいけないというルールを課しています。ここで企業の求める要件に合うシンガポール人からの応募があった場合は、駐在員の派遣は取りやめて、そのシンガポール人を採用しないといけません。要件に合うシンガポール人がいなければ初めて、企業は、駐在員の選定や外国人の採用の検討を始めることができるというのが現在のシンガポール就労ビザ申請の原則です。
求人広告を実施しなかったり、その内容や方法がシンガポール人に対して「不公平」や「差別的」であると当局に判断された場合、最大で2年間の就労ビザの発給・更新の一切の停止、最悪の場合は企業の代表者の禁固刑という厳しいペナルティが用意されており、今後こうしたルールがより強制力を持った形で法律化されることも発表されています。
取得の前提条件④ 最低適格給与
給与設定額は長らく最低額がS$2,300でしたが、2020年1月1日からS$2,400、2020年10月1日からS$2,500と上がり続け、2022年9月1日からはS$3,000となりました。
また、40代半ば以上の年齢の候補者については、一般セクターで最低適格給与がS$4,500程度まで、金融セクターではS$ 5,500程度まで引き上げになっています。
政府は2023年9月1日と2025年9月1日にも最低適格給与の見直しを行うことを明言しており、2023年9月1日にはS$ 3,150 (金融セクターはS$ 3,650)への引き上げが確定、2025年9月1日にはS$ 3,300 (金融セクターはS$ 3,800) の引き上げが確定しています。
これに合わせて、40代半ば以上の年齢の候補者については、一般セクターで最低適格給与がS$4,800程度まで、金融セクターではS$ 5,650程度まで引き上げになっています。
【最低給与額の変遷 - 金融サービスセクター以外 】
※下記は23歳以下の場合の新規申請に適用される最低額であり、新規申請時の年齢により異なります。
加えて、更新申請については、適用日が異なります。2027年12月末までにEPが失効するEP保持者については、S$3,300が、2028年1月以降にEPが失効するEP保持者については、S$3,600の基準が適用されます。
【最低給与額の変遷 - 金融サービスセクター以外 】
※下記は23歳以下の場合の新規申請に適用される最低額であり、新規申請時の年齢により異なります。
加えて、更新申請については、適用日が異なります。2027年12月末までにEPが失効するEP保持者については、S$3,800が、2028年1月以降にEPが失効するEP保持者については、S$4,000の基準が適用されます。
いずれにしてもEPと比較すると低めに設定されているSパスの給与額ですが、こちらについても年齢・業務経験が最低給与に影響を及ぼすことに注意が必要です。 若く経験の少ない人材ほど低い給与設定額でも承認され、年齢が高くより経験を積んだ方についてはより高い給与設定でないとビザが承認されない傾向があります。
また、帯同者がいるかどうかでもSパスの給与設定額が変わってきます。
Sパスに紐づいた帯同者(配偶者、子供)向けの滞在ビザを発給する場合、Sパス保有者の最低給与額をS$6,000以上にする必要があります。 さらに、両親を連れてくる場合は最低給与額をS$12,000以上にする必要があります。
一般的にSパスが取得できた場合、帯同者向けのDPおよびLTVPの取得難易度は低く、ほぼ確実に取得ができます。現状、帯同者に関しては学歴等を問われることもありません。Sパスの配偶者がシンガポールで就労するには、EPやSパス、Work Permit等の就労ビザを取得する必要があります。
取得の前提条件⑤ 学歴
EPよりも制限の多いSパスですが、給与と同様、学歴要件はEPほど厳しくありません。EPが基本的に4年制大学卒業程度の学歴を求めるのに対し、SパスはDiploma、つまり卒業証書や修了証書を保持していれば良しとしており、一定レベルの学歴があれば、難易度はEPほどではありません。
また、技術者の場合は専門技能のコースにフルタイムで最低1年通学することとされており、SパスはEPと比較してより幅広い経歴の持ち主に対して門戸が開かれているのが特徴です。
Sパス申請
それでは次にSパスの申請方法を見ていきましょう。
ステップとしては大きく下記の7つに分かれますので、一つ一つ見ていきます。
まずはMCF広告プロセスを見ていきましょう。

