シンガポール就労ビザ申請・人材紹介の落とし穴と、正しいパートナー選びのコツとは
~EAライセンスの基礎知識と注意すべき取引先の特徴~
シンガポールでの事業展開や駐在において、ビザ取得は避けて通れない課題です。その際に頼りたくなるのが、就労ビザの申請代行や人材紹介を手掛ける専門会社。しかし、実はこれらのサービスには 「EAライセンス(Employment Agency License)」 が必要なことをご存知でしょうか?
東南アジアを含むアジア太平洋地域諸国を中心とした海外進出支援を行うコンサルティングファームのGlobal Gateway Advisors Pte. Ltd. (本社:シンガポール、以下「GGA」、ダイレクター:山下英男)は、本記事において、日系企業が安心してサービスを利用するために確認すべきビザ取得のコツや注意点を、「基礎編」と「応用編」に分けてわかりやすくご紹介します。海外進出や事業展開、駐在を検討する企業にとって役立つ情報をお届けします。
■EAライセンスとは?
シンガポールで就労ビザの申請を代行したり、人材を紹介したりする事業者は、原則としてEAライセンスが必要です。たとえば、雇用主や求職者に代わってワークパス申請を行うだけでもライセンスが必要と定められています。
参考:https://www.mom.gov.sg/employment-agencies/register-ea-personnel
また、EAライセンスを保有している企業では、求められれば担当者がEA登録カードを提示する義務もあります。これは顧客にとっての安心材料ですし、違反すれば罰則の対象にもなります。
※しかし、自分の会社または事業の為に雇用することを目的とした人材の採用や、自社のスタッフを顧客の敷地やオフィスにアウトソーシングする場合は、ライセンスは不要です。
■信頼できる会社か確認するには?
上記を踏まえ、ご自身が依頼している企業がシンガポール政府のEA(Employment Agency)ライセンスを取得しているかどうかを確認するには、以下の政府公開ディレクトリが活用できます。
l EAライセンス企業検索 (EA Directory)
Employment Agencies & Personnel Search
このサイトにアクセスし、企業名を入力して検索すると、その企業がライセンスを保有しているかどうかに加え、登録状況や過去の実績なども確認できます。ビザ申請代行を依頼する際は、事前にこうした情報をチェックしておくことをおすすめします。
▼以下は、GGAが取得しているEAライセンスの詳細画面の一例です。
▲GGAを検索した時の実際の画像。GGAのEAライセンスの登録状況が分かります
▲GGAのEA Personnel画面。Typeには、「Key Appointment Holders」と「Other EA Personal」があります
■不正があり摘発されている企業もあるので要注意
なお、過去にはEAライセンスを保有している企業であっても、不正な手数料の徴収などにより摘発された事例があります。たとえば、以下のMOM(シンガポール人材開発省)の報道発表では、外国人労働者から計112,400シンガポールドルのリベートを不正に受け取り、有罪判決を受けたことが報じられています。
l 2025年7月MOM報道発表
報道記事: 0724 SINGAPOREAN CONVICTED FOR COLLECTING $112,400 IN KICKBACKS FROM MIGRANT WORKERS
▲Revocation/ Suspendedされた企業のEA画面
つまり、ライセンスの有無だけでなく、実際に誰がサービスを提供しているか、実績や対応姿勢などを含めて見極めることが重要です。
GGAでは、EAライセンスを取得している山下本人が、新規クライアントとの会議に出席し対応します。ウェブサイトにEA License情報は載せているので、こちらからカードの提示はしませんが、もちろん依頼されればEA Licenseを提示いたします。
■ありがちな「グレーな構造」に要注意
最近では、日系企業が知らぬ間に非ライセンス事業者を通じてサービスを受けているケースも見受けられます。
例:
クライアント(企業)
↓
日本語対応業者(ライセンスなし)
↓
現地のサービスセンター(業務委託)
↓
ローカルのEAライセンス会社(実務実施)
このように、表面的には日本語で丁寧な対応でも、実際には、複数の業者を経由した「多重構造」になっており、責任の所在が不明確になるリスクがあります。
ライセンスなしの業者が主体となりビザ申請についてアドバイスすること自体が既に違反行為ですが、仮にビザの申請後にMOMから質問や却下の連絡が来た場合は要注意です。
ライセンスを持つ会社であれば、MOMのガイドラインに沿った適切な講習を受けているので、品質は様々ですが対応はしてもらえます。
一方で、ライセンスなしの業者は、アピール手続きは対応しない、あるいは、MOMのガイドラインに沿わない対応をしてかえって炎上させてしまう場合が多くあります。
弊社でも、年間数件程度、「EPが却下されたが、いまのお願いしているビザ申請会社(ライセンスなし)がこれ以上手伝えないと言われた」、というお客様からの新規ご相談をいただきます。
こういったライセンスなしの業者について、MOMが知ることとなった場合には、その業者はもちろん、お客様がその事実を知りながら仕事を依頼していた場合には罰則の対象となる可能性があります。
■日系企業が最低限確認すべきチェックリスト
◆基礎編(まずはここから)
相手企業がEAライセンスを保有しているか?(EAライセンス企業検索 (EA Directory)で確認しましょう)
担当者がEA登録カードを提示してくれたか?(依頼して提示してもらいましょう)
担当者本人とオンラインなどで顔合わせをしたか?(少なくとも一度はウェブ会議などで顔を知っておくことが大事です)
◆応用編(大企業や法務・人事部向け)
EAライセンス会社の実績は十分か?(年間の申請件数など確認し、極端に数が少ない会社への依頼は控えるべきでしょう)
登録されたEA Personnelの経歴や素性に問題がないか?(犯罪歴の有無は必ずチェックした方が良いでしょう)
ライセンスの期限や登録情報は最新か?
ビザ申請や人材紹介の場面では、つい「日本語が通じるから安心」と思ってしまいがちですが、EAライセンスの確認こそが安心・安全な取引の第一歩です。
少しの手間で大きなトラブルを防ぐことができますので、ぜひ今回のチェックリストを参考に、信頼できるパートナー選びをしていただければ幸いです。
■当社の紹介
グローバルパートナーズコンサルティンググループの傘下であるGGAは、顧客のアジア圏における経営課題解決に特化した各分野のプロフェッショナルで構成される完全独立系コンサルティングファームです。年間200社以上の地場企業との事業提携・創出の交渉や、シンガポール国内での計300件以上に及ぶ人事労務コンサルティングをはじめとした豊富な経験と現地での最先端の知識・情報・ネットワークを元に、アジア圏に特化したシームレスなコンサルティングサービスをご提供し、クライアント様の「正しい意思決定」と「持続的な成長」にコミットする事で、その先の企業運営を支援させていただきます。
信頼できる「就労ビザの申請代行」をしてくれる企業をお探しの方は、下記お問い合わせまでご連絡を頂戴けますと幸いです。
【会社概要】
会社名:グローバルパートナーズコンサルティンググループ
所在地:〒102-0085 東京都千代田区六番町2番地8 番町Mビル3F
代表者:関口泰央
設立:2000年
事業内容:グローバルパートナーズコンサルティンググループは、独立系コンサルティングファームとして、企業経営・会計財務・海外進出・IT・マーケティングなどに関する幅広い顧客ニーズに対応しております。日本本社に加え海外4拠点を展開し、国外では、シンガポールをはじめとしたアジア圏にて計800件を超える日本企業の海外での成功を支援して参りました。
GGAグループは、過去20年にわたり、日本やアジアにおける多国籍企業や中小企業の企業アドバイザーを務めています。より多くの企業が国境を越えた戦略的業務提携や投資の機会を求めている中、私たちの大切なお客様の戦略的利益やニーズを満たすために、弊グループ一丸となり、革新的で実用的なソリューションとサポートを提供し、追求し続けていきます。
【お問い合わせ先】
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E-mail : info@global-gw.com